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せっけん君

ぼくはお風呂が大好きだった。
なぜならば、せっけん君がいるからだ。
ぼくは野球が大好きだった。
だから、毎日のように体をどろんこにして帰ってきた。
そして、ぼくがお風呂に入ってきたら、せっけん君が必ず言う言葉
「うぇっ 泥くさい。今日は一球ぐらい打てたのか?」
ぼくは、その言葉を聞くたびに、顔がまっかになった。
そして、
「打てた砂。ぼくをだれだと思ってんだい!」
と、いばった態度で言う。
でも、本当はちがった。
いつも玉をかるがると打つ山田君には、まだまだ手がとどかない。
きっとせっけん君もお見通しだろう。
ぼくは、そんなせっけん君が大好きなんだ。
そして、せっけん君は今日もぼくのどろんこの体を優しくフワフワとつつんでくれた。

とてもいい香りだ。

しゃぼん玉がわれる音がした

フワフワー・・・パン!

あっまたわれた。

ぼくは、夢を見ているかのように、とてもいい気分になった。
また、しゃぼん玉が上にフワフワとあがった。

パン!

あ~~~・・・またわれた。

ぼくは、できるなら、このしゃぼん玉をいつまでも取っておきたかった。
せっけん君の香りのする、このしゃぼん玉を。
なぜなら、しゃぼん玉がわれると、大好きなせっけん君との別れが近くなってきている気がするから・・・。

ぼくは体をきれいに洗い流し、ゆぶねに入った。

「1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12・・・」
ぼくは、百まで数えると、ゆぶねからあがった。
そして、フカフカタオルで体をふいた。
「また明日。あ~気持ちよかった。」
「じゃあな」

あれから何日たつのだろう。
ぼくは成長した。
野球だって、とても上手になった。
山田君とならぶほどだ。
学校のキッズ野球クラブに入っているぼくは、し合いのレギュラーにだって選ばれた。

一方、僕の大好きなせっけん君は反対だった。
とても小さくなっていた。
しゃぼん玉が、一つ、二つ、われていく。

ぼくは、大好きなおふろの時間なのに、何とも言えないさみしさにおそわれた。
せっけん君は
「お前も成長したなぁ。レギュラーに選ばれたんだって?」
と言った。
「うん・・・」
ここはいばるところなのに、僕はいつもの元気でいばれなかった。
「どうした。いばらないの?」
「うん」
ぼくは「うん」としか言えなかった。

それから三日・・・。
せっけん君は、いつきえてもおかしくないほどの大きさになっていた。
ぼくは、せっけん君を使おうという気持ちになれない。
「どうした。ほら、あらってあげるよ」

ぼくがあわだてたそのとき

パンーーー!

しゃぼん玉がわれた。
せっけん君はあわになっていた。

「あ・・・せっけん君」

ぼくはさみしかった。
すごく泣きたかった。
せっけん君の香りのするお風呂の仲で、ぼくはただしゃぼん玉が上がっていった方を見ているだけ。

「泣くなよ。泣くなよ。いいか、またもどってくるから!約束だよ!」
せっけん君が、そういっていたような気がした。
そうだよ。
せっけん君は、また新しくなってもどってくる。
それまでね。


「おーい、こうた。お買い物行くわよ~。」
「は~~~い」

今日はゲームを買いに行く日。

「あっ、せっけんなかったよね。こうた、好きなのを選んで。」

「また会ったね、せっけん君」
「あ、また会ったな。新しくなってきたよ。」

せっけん君、いつもいっしょだよ。

そこは、せっけん君の香りでいっぱいだった。

                おわり


作 こまいゆうか
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テーマ : ショート・ストーリー
ジャンル : 小説・文学

コメント

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No title

はしめまして shoです。

せっけん君 あわあわ になってくれたり
シャボンダマ になってくれたり
優しく包んでくれたりするんですね。。。。
石鹸って いいもんだね!
ほのぼのしました。
 
またお邪魔しますね。

shoさん

はじめまして。

私の作品を見て下さってありがとうございます。
思いつきで書いた物ですが、我ながら良い作品だと思います(笑)
また書きますね。

すごい!

すごくいいはなしでした。
こんな話を作れるゆうかちゃん
すごいです。!
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